Monthly Archives: 10月 2016

採用選考の中で面接は重要な比重を占めており、面接だけで採否を

決定する場合も多いようです。

面接の目的は

① 応募者の志望動機や要望、企業の採用条件・労働条件など、

お互いの意思疎通を図る情報交換の場です。

② 会話の中から質問の意図や内容をとらえる理解力・判断力、

あるいは、自分の伝えたいことを分かりやすく説明する表現力など、

応募書類や学力試験などでは分からない適性・能力を判定する場です。

③ 応募書類や学力試験などによって得たデータ内容を確認しつつ、

応募者の受け答え、反応の仕方なども考慮して、あらかじめ定められた

一定の基準にしたがって、応募者の適性と能力を総合的に評価する、

いわば採用選考の集大成の場です。

~厚生労働省資料より~

適性検査は、「職業適性検査」「職業興味検査」「性格検査」などがあり、

新規学卒者等の進路指導や心理相談などに用いられますが、求人企業の

採用選考においても、応募者が求人職種の職務に対してどの程度適性が

あるかを判断する際の参考として用いられることがあります。

しかしながら、これらの検査は、その実施・判定・活用に専門的な知識と

経験が必要であることや、回答のコツを知っていると応募者が回答内容を

調整できてしまう場合があることなどを十分認識する必要があり、目的に

応じて適切な種類の検査を選んだうえで専門的な知識と経験をもった人に

よって用いられる必要があります。

このような中で、近年、業者が実施するマークシートテストが活用されることが

多くなっているようですが、その内容は、言語・計数・一般常識(社会・理科・

時事経済・英語)・性格の分野等から成る、基礎的な学力試験と適性検査を

あわせた性格のものが多いようです。

これらの検査はいずれの検査であっても、「得られる結果は、応募者の適性の

ある一面を把握するものに過ぎず、応募者の適性を完全につかむことはできない

という限界を十分認識した上で、応募者の適性・能力の判断に当たって、

結果を絶対視したりうのみにしないようにする必要があります。

~厚生労働省資料より~

作文は、与えられたテーマを的確に理解してそれに対する自分の考え方を整理して

文章で他人に伝える能力などをみたり、誤字や脱字は多くないかなどをみることで、

求める職種の職務遂行上必要な適性・能力(知識)を判断するために実施するものです。

このようなことから、応募者に作文を書かせることが、求人職種の職務内容からみて、

必要な知識や適性を判定する方法として適当かどうか(安易に書かせていないか

どうか)、検討する必要があります。

その上で、作文を書かせることが適当であると考えられる場合は、作文のテーマが

適当かどうか検討する必要があります。

つまり、本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項(思想信条に

かかわること)を直接・間接的に書かせていないか十分留意する必要があります。

例えば、『私の家庭』『私の生いたち』など本人の家庭環境に係るテーマや

『尊敬する人物』など本人の思想・信条にかかわるテーマは、その人の家族状況や

思想・信条を把握し、それによって就職差別につながるおそれがあります。

なお、これらのテーマは、就職差別につながるおそれがあるばかりでなく、

それを「触れられたくない」「他人に言いたくない」「書きづらい」とする立場や

事情を抱えている応募者に対して、思いやりの姿勢や配慮に欠けることに

なるという側面もあります。

例えば、両親を早く亡くした応募者にとっての『父(母)』というテーマや、

つらい苦しい日々を過ごしてきた人にとっての『生いたち』というテーマは、

まさにこれに該当するものであり、本人につらい思いをさせ苦痛を与える

配慮のないテーマとなります。

未成年の新規中・高卒予定者などであればなおさらです。

~厚生労働省資料より~

学力試験(学科試験)は、学校教育による学習によって得られた能力を

筆記試験などで評価するものですが、その結果から応募者が求人職種の

職務遂行上必要な適性・能力(知識)をもっているかどうかを判断するために

行われます。

採用のために行われる学力試験は、入学試験とは異なり、採用する職務に

関係のない内容や必要以上に高度な内容とならないよう、職務との関係を

重視して実施することが大切です。

なお、職務遂行上必要な技能・技術を既に一定程度身につけている者を

採用する場合においては、その技能・技術に関する実技試験が行われる

ことがあります。

~厚生労働省資料より~

色覚検査において異常と判別された方の大半は、支障なく業務を行うことが

可能であることが明らかになってきております。

しかしながら、このような方が業務に特別の支障がない場合であっても、

事業主が採用を制限する事例も見受けられることから、労働安全衛生規則等

の改正(平成13 年10 月)により、「雇入時の健康診断」の診断項目としての

色覚検査が廃止されました。

従業員を雇い入れる際には、「色覚異常は不可」などの求人条件をつける

のではなく、色を使う仕事の内容を詳細に記述するようにするとともに、

採用選考時において、色覚検査を含む「健康診断」を行うことについては、

職務内容との関連でその必要性を慎重に検討し、就職差別につながらない

よう注意してください。

ウィルス性肝炎は、通常の業務において労働者が感染したり、感染者が

他の労働者に感染させたりすることは考えられず、また多くの場合

肝機能が正常である状態が続くことから、基本的に就業に当たっての

問題はありません。

肝炎ウィルスの持続感染者等に対する差別は、偏見を基礎にしたもの

であるといえます。

したがって、採用選考時において、肝炎ウィルス検査(血液検査)を含む

合理的必要性のない「健康診断」を実施することは、結果として肝炎ウィルス

の持続感染者等に対する就職差別につながるおそれがあります。

全ての事業主は、

「募集及び採用時において、障害者と障害者でない人と均等な機会を

確保するための措置」

「採用後においては、障害者と障害者でない人の均等な待遇の確保または

障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置」

いわゆる「合理的配慮」を提供しければなりません。

募集・採用時の合理的配慮の例としては、次のものが考えられます。

・ 視覚障害がある方に対し、点字や音声などで採用面接を行うこと。

・ 聴覚・言語障害がある方に対し、筆談などで面接を行うこと。

合理的配慮は、障害者一人ひとりの状態や職場の状況などに応じて求められ

るものが異なり、多様で個別性が高いものです。

したがって、具体的にどのような措置をとるかについては、障害者と事業

主とでよく話し合った上で決めていただく必要があります。

このように、合理的配慮は個々の事情がある障害者と事業主との相互理解

の中で提供されるべきものです。

「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」が

平成28 年4月1日から施行され、雇用の分野における「障害者差別の

禁止」「合理的配慮の提供」が義務づけられました。

【障害者差別の禁止】

全ての事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、

障害者でない者と均等な機会を与えなければなりません。

また、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇

について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と

不当な差別取扱いをしてはなりません。

ここで禁止される差別は、障害者であることを理由とする差別

(直接差別をいい、車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の

付添い等の社会的不利を補う手段の利用等を理由とする不当な

不利益取扱いを含む。)です。

募集・採用時の差別の例としては、次のものが考えられます。

・ 障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること。

・ 募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。

・ 採用の基準を満たす者の中から障害者でない者を優先して採用すること。

障害者に対する差別を防止するという観点を踏まえ、障害者も共に働く

一人の労働者であることの認識の下、事業主や同じ職場で働く者が

障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることも重要です。

厚生労働省~公正な採用選考をめざして~

職業安定法では、労働者の募集業務等の目的の達成に必要な範囲内で、

募集に応じて労働者になろうとする者等の個人情報を収集、保管、使用

しなければならない旨規定しています。

また、併せて、法に基づく指針が公表され、原則として収集してはならない

個人情報等を規定しています。

次の個人情報の収集は原則として認められません。

● 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の
 原因となるおそれのある事項

・家族の職業、収入、本人の資産等の情報
・容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報

● 思想及び信条

・人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書

● 労働組合への加入状況

・労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報

個人情報の収集は、本人から直接又は本人の同意の下で収集することが原則です。

違反したときは、

● 違反行為をした場合は、職業安定法に基づく改善命令を発出する場合があります。

● 改善命令に違反した場合は、罰則(6 ケ月以下の懲役又は30 万円以下の罰金)が

 科せられる場合もあります。

厚生労働省~公正な採用選考をめざして~より

【就職差別につながるおそれがある項目】

「宗教」に関すること
「支持政党」に関すること
「人生観・生活信条など」に関すること
「尊敬する人物」に関すること
「思想」に関すること
「労働組合・学生運動など社会運動」に関すること
「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること

思想信条にかかわることを採否の判断基準にすることは、憲法上の

「思想の自由」「信教の自由」などの規定の精神に反することになります。

思想信条に関わることは、憲法に保証された本来事由であるべき事項であり、

それを採用選考に持ち込まないようすることが必要です。